第一ラウンド  〜中学三年生〜


「ん」
「ん?」
「だから、ん」
「いやそんな……しごく真面目な顔でポッキー突き出されても」
「説明的な口調をありがとう」
「どうしたしまして」
「で?」
「ん?」
「オイオイ、今日という日にポッキーを前にしたら、やることは一つだろ?」
「えー」
「妙齢の男女が! ポッキーの両端を咥え!」
「進藤めんどくさいなー」
「ひっど」
「はっきり言うと?」
「俺とポッキーゲームしようぜ」
「私どっちかっていうとフラン派なんだよね」
「なんだと」





  第二ラウンド  〜高校一年生〜


「よっ」
「うわ」
「そんな露骨に嫌そうな顔されると流石の俺も傷付くわー」
「棒読みで言われるとまたやっちゃうかも」
「やめて」
「善処する」
「で、ほら、ハイ、お誕生日おめでとー」
「……えっ? フラン? 私の誕生日プレゼントフラン?」
「え、不服なの」
「なんでそんなに残念そうなの……」
「そこはほら、進藤くん覚えててくれたのねって感激するところじゃない?」
「あー……まあ律儀だなあとは思ったけども」
「だろ?」
「確かに去年、フラン派とかなんとか言った覚えはあるけど」
「そうそう」
「別にあれは進藤がうざかったから言ってみただけで」
「……ひっでえ。まじひっでえ」
「ごめんって」
「まあいいわ。許してあげるわ。ポッキーゲームしようぜ」
「え、フランで?」
「……そういえばフランだったわこれ……」





  第三ラウンド  〜高校二年生〜


「誕生日おめでとうポッキーゲームしようぜ!」
「そんなあからさまな……」
「じゃあこうしよう、誕生日のプレゼントに俺とポッキーゲームができる権利を」
「うぜえ」
「この真顔……グサッとくるわ……」
「礼は言うけど」
「デレ期キター!」
「どうしてそうポッキーゲームに拘るのか知らないけど、千佳ちゃんとやればいいじゃん」
「……はポッキーにマヨネーズって行ける人?」
「なんですって」
「その上にパプリカパウダーをトッピング」
「うわ」
「千佳のことは大好きだけど自ら危険な橋を渡るのはちょっと」
「惚気来たわあ……私何やってるんだろう……」
「と、いうわけで、ん」
「ん?」
「んんー」
「私、ポッキーは最後のチョコついてないのを食べるのが一番好きなんだよね」
「なん……だと……」
「うわ進藤もったいな!」


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