去年、そして一昨年の闇の魔術の防衛術の授業は、ひたすら自伝を読んでいるだけだったり、ニンニク臭だらけだったりで散々なものだったが、今年の先生は少し毛色が違った。魔法生物を連れてきて、生徒に実践させて教えるのだ。これが皆に大人気で、瞬く間にルーピン先生は生徒の人気者になった。
ドラコや彼とよく一緒に居る一部のスリザリン生達は、ルーピン先生を気に入らないらしく、しょっちゅう彼を非難していたが、それは彼の身なりがみすぼらしいからだろうとは思っていた。ドラコにしてみれば、ルーピン先生の継ぎ接ぎだらけのローブも、白髪交じりの髪の毛も気に入らないのだろう(彼がグリフィンドール出身で、その寮に対して少し甘い事も要因の一つと思われた)。
も、以前までとは打って変わって、闇の魔術に対する防衛術の授業が好きになっていた。ルーピン先生は教え方が上手だったし、どの生徒にも平等に接した。それに――一番重要な事だが――、ルーピン先生の授業は面白いのだ。
「赤帽鬼はおもに古戦場などに住み着く。それが何故か、ブレーズ、解るかい?」
生徒のファーストネームを呼ぶ事にも、は好感を持っていた。ザビニがレッドキャップについての習性の頁を読み上げている間、もジッと教科書の文字を追っていた。ルーピン先生の横には、彼が連れてきた赤帽鬼が入れられている檻が置いてあり、ガタガタと音を立てていた。しかしその喧しい騒音も、は気にならなかった。
「ブレーズが説明してくれた通りだ。赤帽鬼はその名の通り、赤い帽子を被ったように頭部が赤い。これは人の血を啜って生きてきたからだと言われている。本当のところは誰も知らないがね。つまり、彼らは血を求めて彷徨うのだ。さて、ここで問題だ。それではどうして、彼らの生息地が北欧に集中しているのか――んー……そうだな――、解るかな?」
「はい、先生」は返事をし、ゆっくりと口を開いた。
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